あさま山荘事件を描いた山本直樹レッド 全巻の感想、登場人物、絶版の購入方法。 | 双六日録

【ブックレビュー 後編】山本直樹 レッド 全シリーズ読破しました。淡々と描かれていたからこそ、あぶり出される感情があります。

ブックレビュー
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皆さんこんにちは。双六問屋です。
見に来てくださり、ありがとうございます。

さて、前回のブログでご報告したように、山本直樹さんの「レッド」全シリーズを格安で手に入れることができ、全巻読破しました。(全13冊)

前回のブログはこちらからどうぞ。レッドについての詳細や、格安で手に入れた方法も書いています。

連合赤軍のこと全然知らないけど読破できるかな・・・?とも思っていたのですが、すごく面白くて途中でやめられず、全巻読み終えましたので感想を少し書きたいと思います。

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2022年11月追記 レッド、太田出版から紙書籍で復刊決定しました!!

全4巻には、講談社コミックス版の「レッド」全8巻、「レッド 最後の60日 そしてあさま山荘へ」全4巻、「レッド 最終章 あさま山荘の10日間」全1巻の計13巻分を収録。
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ながらく絶版になっていたレッド、紙書籍で太田出版から全4巻で発行されました。
全4巻には、講談社コミックス版の「レッド」全8巻、「レッド 最後の60日 そしてあさま山荘へ」全4巻、超プレミア価格がついている「レッド 最終章 あさま山荘の10日間」全1巻の計13巻分を収録。

どうしても紙書籍がいい!と考えられていた方にはとてもいいニュースですね!
もし、電子書籍でもいいから安く買いたい、という方はAmebaマンガがおすすめです。

レッド シリーズをおさらい

感想の前に、まずレッドのシリーズがどうなっているかおさらいさせてください。
ご存知の方は、飛ばしてOKです!

レッドは、以下の13冊からなっています。最初の ①レッド 全8巻 だけ読んでも途中で終わってしまっているのでお気をつけ下さい。

①レッド 全8巻
(サイトによっては、「レッド1969~1972」表記になっているところもあります。)
連載誌 イブニング発表号 2006年21号~2013年23号

物語のはじまり。それぞれの人物がどう革命に参加していくか、革命の活動、革命者連盟と赤色軍が「赤色連盟」として同盟を結ぶ経緯などが書かれています。

連載は 2013年23号 で一旦中断。その後、②レッド 最後の60日 そしてあさま山荘へ として連載が再開されます。
②レッド 最後の60日 そしてあさま山荘へ 全4巻
連載誌 イブニング発表号 2014年5号~2016年21号

学生同士で私刑を行い12名の死者が出たとされる「山岳ベース事件」が主に描かれています。

③レッド 最終章 あさま山荘の10日間 全1巻
連載誌 イブニング発表号 2017年7号~2018年11号

連合赤軍の活動でおそらく一番有名な事件、あさま山荘事件のことが描かれています。

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※「レッド」、Amebaマンガでの詳しい購入方法や、電子書籍に収録されていない対談などについては前回のブログに記載しましたのでよかったらご確認ください。

レッド 感想

山本直樹さんの情熱がすごい

まず、私は思想として右でも左でもありません。この記事を書くことで暴力行為や、過激な政治活動を示唆するつもりはないことを先に書いておきます。また、いかなる政党や思想を否定するつもりもありません。
「レッド」は一応「フィクション」と書かれていますが、私の個人的な考えとして、史実に基づいた描かれたものとして紹介します。

では、感想を書きますね。

山本直樹さん、すごすぎる。

「全て描きつくしてやる」という執念がビンビンに伝わってきます。
「その場にいたの??」ってくらいリアル。
12年かけて、この作品を描きあげられるのは世界中で山本さんしかいないと思います。

漫画だけどモノローグは一切なし

だいたい漫画だと、登場人物がその時どう思ったか書いている吹き出しが出てきますよね。

レッドはそれが一切出てきません。
レッドでは一貫して、読者の感情を誘導するようなト書きや、登場人物の感情を説明するセリフは一切出てこないのです。
出てくるのは、セリフ、日時、場所、あと何日でこの人物が逮捕・死亡・逃亡するのか残された日数だけです。
ちなみに、登場人物に書かれている①、②などの数字は死ぬ順番です。

こんな漫画、他にありますか?
説明書きがなくても、たくさんのことがコマからビシビシ伝わってきます。
ストーリーがすごいのはもちろんなんですが、画力がすごくて、コマから伝わってくるパワーがすごい。特に、キレる寸前の女性の顔がすごい。顔の圧がめちゃくちゃあって息苦しくなるくらい。山中や小屋の描写もすごくリアルです。

はっきり言って、めちゃくちゃ怖いシーンもいっぱいあります。
デフォルメされてない、しっかりとした描写だからなお怖いです。暴力シーンが苦手な人はちょっと飛ばした方がいいと思うシーンも多数。

レッドは、すごくリアルな分、わかりにくいという人や、最後があっさりしすぎというレビューもありますが私はそう感じませんでした。
淡々と描かれているからこそ、狂気性があぶり出されています。
読者の想像を邪魔する表現が一切ありません。この事実を目の前に突きつけられた時、どう感じるか。
それは読者の自由です。全ての思想が自由であるように。

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私が今一番怖い言葉「総括」

「総括」とは、革命運動における自身の行動を振り返り、反省点を述べる活動報告のことです。
たとえば「今日、山に入るのに水筒を忘れてしまったことを自己批判します」と皆の前で話す、といった具合です。
自身で総括できるうちはいいのですが、革命運動に合っていないことをして、それが見つかってしまったりすると、他者から「総括しろ!」と言われることになります。
総括をしても、他者からみて反省が足りなければ「総括がなっていない」と指摘されます。
やがて「何を総括したらいいかわからない状態」に。
そしてこの総括こそが、凄惨なリンチ殺人へと繋がっていくのです。
②レッド 最後の60日 そしてあさま山荘へ 全4巻 は、12人の死者を出した「山岳ベース事件」がメインテーマとして描かれており、それは「総括」に起因しています。
総括がどんどん理不尽になっていく様子や、言わなくてもよさそうなのに全部正直に思っていることを話すところ(なぜだろう?)、亡くなる寸前に朦朧としながらお母さんへの気持ちをつぶやくシーンなどどれも読んでいて胸が痛い。でも、読むのをやめられない。先が気になるから。

あと、私、 ③レッド 最終章 あさま山荘の10日間 全1巻 の最後、人質の利根さんが救出された時のコマがセリフ含めてなぜかすごく怖いんです。鳥肌立つくらい。同じ人いますか?

レッドを読むコツ、人物相関図

レッドを読見始める時に心配だったのが、連合赤軍のこと全然知らないし、登場人物多いから整理できるかな?ということでした。レッドを読む前の私の知識は「あさま山荘事件というのがきっかけでカップヌードルが売れた」くらい。山岳ベース事件も知りませんでした。
結果、何も問題なく読み通せました。

私にとってのコツは「登場人物100%全て把握しようとしない」でした。
最初から全部把握しようとすると大変だと思います。
読んでいくと、「この人の流れさえ掴んでおけばOKかも」というのが自分なりに出てきます。
私の場合、それは赤城と岩木。

ただ、1巻の第六話の途中で、何の説明もなく赤城がパーマに変わっていた時は一瞬わからなくなりそうでした。みなさんもお気をつけください。

人物がわからなくなった時のために下記のものが用意されています。
①レッド 全8巻
1巻 巻末、わかりやすい人物相関図あり。
3巻 巻末、登場人物総ざらいで紹介しているページあり。
4巻 巻末 「これがあればレッドの世界がよくわかる!レッドカード」あり。
カード1枚1枚に人物が描かれており、すでに死亡した人物は死因も書かれている。読者が自分で書き込みしたい時用の空白カードまである親切さ。
5巻の巻末には、薬師みどりのレッドカードが1枚追加されている。

読み終えた私なりにまとめてみました。()内は、Wikipediaの「レッド」のページに書いてある、モデルとされた人物や団体です。敬称略。

Wikipedia「レッド」を参考にしました

のちのち存在感を増してくる天城のモデルとなった人物の遠山美枝子さん、調べてみると重信房子と親友だったようです。天城の統括のシーンで何度か「十勝」という人物が名前だけ登場しますが、それが重信房子らしい。(Wikipediaより)

まとめ レッド、読んでよかった

何の知識もないまま、レッドを読んだのですが問題ありませんでした。
むしろ、読み終えた今、色々と知りたくなり関連書籍や動画を見ています。
レッドシリーズ最終巻である、 ③レッド 最終章 あさま山荘の10日間 全1巻 の巻末には、なんと、「岩木こと植垣康博」として植垣さんがあとがきを寄せていらっしゃいます。
その植垣さんの動画がYou Tubeに上がっていました。⇒こちら
お若い時の画像、岩木に似ているような・・・。
2022年5月23日追記
上記動画内で紹介されている、植垣さんの「ふしぎな酒場 スナックバロン」ですが、2022年4月24日をもって一時的に閉店なさったというツイートを見ました。
つぶやいているのは植垣さんご本人ではありませんが、写真なども載っていて信憑性は高いと思われます。私も行こうと思いこれまでに何度か電話しましたが繋がりませんでした。
気になる方はTwitterで「ふしぎな酒場スナックバロン 閉店」と検索していただければと思います。
(私個人が行って確かめられないので、ツイートの埋め込みはやめておきます)
追記はここまでです

今回、レッドを読むことで、今まで知らなかった思想を知ることができました。
知らなければ、革命運動の何が問題かさえもわからなかったので、読んで良かったと思います。

コロナ禍で、世界経済も不安定、将来に不安を感じる人達が増えています。
こういった時代は、過激派の活動に興味を持つ人が増加するのだとか。
特にYou Tubeは、AIが関連動画をおすすめしてくるので、偏った思想になりやすいことが問題視されていますよね。

私はこれからも
俺は右でも左でもかまわないんだ。そんなことどーでもいいんだ。右にどんどん行ってみろ。やがて左側に来ているのさ。地球は丸いからね」(忌野清志郎)
という考えでやっていこうと思います。

色々と考えるキッカケにもなった「レッド」、ぜひ読んでみてください。読んだ方、コメントくださると嬉しいです。

購入を考えている方!どのサイトよりもAmebaマンガが安くて、揃えやすいのでオススメです!

ここまで読んでくださりありがとうございました。
それではまた。双六問屋でした。

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