文学フリマ初めて行ってみた。論破について。「SIDE-B」レビュー。 | 双六日録

文学フリマ東京に初参加。「SIDE-B」を読みながら、論破がなぜいけないのか考えたり、ものまねに思いを馳せたりしました。

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皆さんこんにちは。双六問屋です。
読みにきてくださりありがとうございます。

11月23日 勤労感謝の日、東京流通センターにて行われた「文学フリマ東京」に、お客さんとして行ってきました。
初めて文学フリマに参加し、お目当ての本も購入できました。

・文学フリマにお客さんとして参加するにはどうしたらいいかまとめました
・購入した「SIDE-B」の感想を基に、論破についての私の考えを書いてみました
・「SIDE-B」 に書かれたものまねの記事もとても面白かったのでそちらも紹介します

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そもそも「文学フリマ」って何?

文学フリマ 公式ページはこちら

「文学フリマ」とは、「文学フリマ事務局」が主催する文学作品の展示即売会です。
入場無料。
コミケと似ていますが、同人誌だけではなく、商業誌もあります。
文学作品を売りたい作者やサークルが会場に出店しており、フリーマーケットのようにお客さんが手にとったり買い物したりできます。

お客さんとして参加するには特に何も必要ありません。好きな時間に行って、好きなだけ見て買い物し、自由に帰ればOKです。ほんと、フリマに行く感じ

今はコロナ対策のために下記の対応がありました。
・スマホに「新型コロナウイルス接触確認アプリCOCOA」のインストール
アプリのホーム画面を受付に提示する。ダウンロード不可の場合は、会場の用紙に手書きで連絡先の記入。
・入場者数制限のため、時間帯によっては入れ替え制
受付でもらったシールを見えるところに貼る。
例:【13:00~13:59】に入場した方(Cシールを配布)→滞在時間「15:00まで」

コロナ対策が行われている間は、行列することを考慮して参加したほうがいいと思います。
私は一番混んでいる時間帯に行ったので、並びました。といっても20分くらい。

公式サイトによると、前回の開催では12:00~13:59に全体の70%の来場者が集中していたそうで、可能な方は14時以降の分散入場にご協力ください、とのことです。

買いたい作品が決まっていれば、どこに出店しているか先に確認しておきましょう。

今回の文学フリマ東京会場に出店したブースは764。(こちらのフロアマップで数えました)
来場者3,378名、出店者1,097名だったそうです。(文学フリマtwitterアカウントより)
もし、購入したい作品や出展者が決まっているのであれば、先にフロアマップで確認しておくと便利です。文学フリマではあまり部数が多くない商品も販売されていますので、先にお目当ての商品を買った方が安心です。そのあと、ゆっくりと会場を回り、文学作品との一期一会を楽しむことをおすすめします。

「SIDE-B 」感想

私のお目当ては、いくつかあったのですが、今日はその中から1つ紹介します。
2010年代のTVブロス編集スタッフが作った雑誌、「SIDE-B」です。

全88ページ。

目次はこちら。

SIDE-B 目次

面白かったです。

今年も色んな本や雑誌を読みましたが、間違いなく私の中では2021年 ベスト3に入ります。
本当に買えてよかった!!と何度も思いました。
我慢できずに、文学フリマの帰りの電車で読み始めて、その日のうちに読み終り、何度か読み返しています。すべて紹介したいくらいですが長過ぎるので今回は2つに絞って紹介します。


まず、なんといっても読みたかったのが

なぜ「論破」が流行るのか? 武田砂鉄×前田隆弘対談

フリーライターでラジオのDJもされている武田砂鉄さんと、編集者・インタビューである前田隆弘さんの対談。テーマは「論破」。

武田さんについては先日の桐野夏生さんのブックレビューでも紹介させてもらいました。
その時の武田さんと桐野さんの対談の内容もこのSIDE-Bで触れられています。


様々なメディアで、「論破」という言葉を目にするようになった現在。
この対談では、「論破というコミュニケーション」、論破がもてはやされる背景とは?そもそも論破がここまで浸透しちゃっていいの?論破にまつわる様々な問題を、ひろゆき氏やDAIGO氏の発言、社会背景や詳細な年表とともに、武田さんと前田さんが紐解いていきます。

私自身は論破が嫌いで、この論破ブームはまずいなと常々思っていました。なのでこの対談を絶対読みたかったんです。もう、最初から最後まで、年表含めてめちゃくちゃ面白い。「論破」を語る上での歴史資料となるでしょう。
おそらく、今後なんらかの形で出版されると思うので、ここでは私がシビレた文章をピックアップして紹介します。
あー、この記事読んだ人と感想を言い合いたいです。
前田さんと武田さんの対談で印象的だった言葉に、私の考えを添えていますので、お二人の意見の真意と異なる場合があります。
※特定の人物を誹謗中傷する意図はまったくありません。

【英雄的行為・快楽装置としての論破】 (年表 「論破をめぐるヒストリー」)

この対談には年表が添えられており、2000年代中盤の「論破」という言葉の発生、定着から、2020年にかけて「論破」がどう変化していったかがわかります。
その中でもターニングポイントとなるのは「2015年ごろ 【英雄的行為・快楽装置としての論破】」、ここでしょう。論破といえばのキラーフレーズ、「それはあなたの感想ですよね?」が生まれたのがこの時らしい。
私は論破という行為がとてもダサいなと思っているのですが、それがいつの間にか「頭いい」とか「かっこいい」となったのがこの時期なんですね。「英雄的行為・快楽装置」という言葉、その心理をよく表してる! なるほどね、それでかっこいいと思われてるわけか。

「飄々とした感じ、めっちゃ出しますよね」(笑) (前田さん)

ひろゆき氏がコロナ禍でリモートでAbemaプライムに参加している様子を話す武田さん。それを受けて前田さんが返したのが 「飄々とした感じ、めっちゃ出しますよね」(笑) という言葉です。

めちゃくちゃわかるーーー!!なぜ論破したがる人って「別に俺はなんでもいいけど?」みたいな態度取るんだろう。「そのパンチ効いてないぜ」アピールすごくないですか?(ひろゆき氏だけではなく、論破する人全般さして言っています)

何もかもに対して「これは私自身が希望したことではない。求められているからやっているだけです」という態度。
私は「失敗を極端に恐れているからではないか」と推測しています。
何か起きた時に、自分発信ではない、こちらは仕方なくやっただけと言えるように。
希望するから自分が出てやったのに、うまく使えなかった相手が無能、と責任転嫁できるから。傷つかずに済むし。

某メンタリストが、動画内でワインを飲みながら話すのもこれかなと思っています。
何かまずい発言をした時には「飲みすぎて」と言い訳できるし、普通のことを言っても「酔っ払ってても頭が切れる俺」を演出できる。余裕綽々です、を演出したがっているなーといつも思います。
でも最近それに追加して思ったのは「本当は飲まないと動画撮れないくらい緊張してたのを隠してたのかも」ということ。プレッシャーに耐えられなかったのかな。

自分の主張がどうこうではなくて、「逆張りで考えられるかどうか」だと言っています。 (武田さん)

著:ひろゆき
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ひろゆき氏の著書「1%の努力」を読んだ武田さん。
この本でひろゆき氏が述べているのは「その場において発信者になれるかどうかのポイントの1つは、自分の主張がどうこうではなくて『逆張りで考えられるかどうか』だ」ということらしい。

論破って、まさにここに尽きる。逆張り命。
ひろゆき氏も討論番組で「AとB、どちらにしますか?」と聞かれた時、よく「僕はどちらでもいいですよ」と答えて討論します。「どちらの考え方かなんて関係ない、相手の逆張りをして論破すること」に注力しているからです。ただ、もちろんこれは番組であり、ひろゆき氏がエンタテインメントとして見せている「論破」。

これこそ、素人が真似したら痛い目にあう行動でしょう。でも、いますよね。逆張りして目立とうとする人。あれがかっこいいと思っているんだろうか。論破する人って、「はい!言い返せない!私の勝ち!」って思ってるのかもしれないけど、大抵まわりは「うざ。」と思って何も言わなくなってしまうだけです。
私は人と話す時、論破が聞きたいんじゃなくて「なんでそういうふうに思ったのか、その先はどうするのか」を聞きたいんだけど、論破が軸になっちゃうと攻撃を見せられるだけだから全く意味がなくなっちゃって話が絶望的につまらないんですよね。

どんな本をランダムに200冊選んだって、そこには「人権を大切にしましょう」って、どこかに書いてありますよ。(武田さん)

メンタリストDaiGoの大炎上について。DaiGo氏の動画ではいつも背景に巨大な本棚が映されています。「あれだけの本を読んであの認識なんだ?!」とショックを受けたという前田さん。武田さんは「もし本当にあそこにある本をちゃんと読んでいたらあの発言にはつながらない」とし、「どんな本をランダムに200冊選んだって、そこには「人権を大切にしましょう」って、どこかに書いてありますよ。」と話します。

それなオブそれな

どれだけの本を読んでもあの発言にいきついたら意味無し。
論破する人って、話の内容が大切なんじゃなくていかに過激にみせるかだけを重視している。
論破する人はよく数字とか文献を持ち出して話しますよね。それって大切なことだと思うんです。特にビジネスの話では。ただ、論破する人って「○○大学の研究の結果~」というソースと、自分の思想を話す割合が逆転してませんか?通常だと、自分の思想を話して、それの裏付けとしてソースを話すと思うんだけど論破する人ってソースの割合が過剰。
これって「知識をわかりやすくまとめて提供してる」ってことなんですかね?そこがウケてるのかな?出した結論があんなんでも?意味なくない?

私の知人の教育関係者が「今の時代、インターネットにほとんどのことが載ってるんだから物事を『知ってる、知らない』で語るなんて意味ない。ググれば論文だって誰でも読めるんだから。知った上でどう行動するかが一番大事」って話していました。
私が、論破する人を苦手な原因の1つは「経験談がめちゃくちゃ少ない」ということ。若い人はまだいいですけど、年を重ねてきてこれはあんまり好きじゃない。たくさんの本を読むっていいことだし、色んな情報にふれるのもすごくいいことだけど、そこから生まれるオリジナルの考えを聞きたい。
本を全く読まなかったとしても、「困った人を助けよう」って言える人と私は友達になりたい。

私が論破で一番嫌いなところ

これは本の感想ではなく、私の「論破」に対する考えです。

論破のいいところって「人を言い負かした気になってスッキリする」以外にありますか?

なぜ多くの人が論破しないか、それは無能だからじゃなくて、論破をすることって相手に失礼って知ってるからです。論破するより、相手の話を聞いたり、聞き出したり、自分の話を伝える「対話」の方が難しいし面倒だけど、建設的だし大切だから対話をするんです。
論破とか煽りって、結局は「うるせえ黙れ」で終わりなんですよ。極端な話、喧嘩売ってるって取られて暴力ふるわれたら終わり。(私は暴力反対です。) 暴力が出てこないって信じ切ってるところが甘いなと思います。
特に海外では、人前で恥をかかせることってかなりタブーなので絶対やらないほうがいいです。
相手に対して失礼って自覚した上で論破するのなら、報復も覚悟してほしい。
でも絶対覚悟してないよね。それがダサい。
私が論破を一番嫌いな理由、それは「ダサいから」です。

あと、論破を真似しない方がいい理由がもう一つ。
「論破する人」って周りの人間から、失脚を望まれるようになるんです。


なんか鼻につく奴だから、助けたいと思われない。
だからいつも論破する人は失敗できない、っていう、いらない負荷がどんどんかかっていって本人が一番苦しくなりますよ。
「ひろゆき 論破」でググったら、サジェストワードに「ひろゆき 論破される」と表示されます。
いつも論破する側の人間が、される側になった姿を見たい人間が多いとわかるでしょう。

・・・・という具合に、論破に対するあれこれを教えてくれたり考えさせてくれたりするこの対談、面白かったです。私みたいに論破嫌いな方、「それはあなたの感想ですよね?」と言いたくなってる論破好きの方、どちらも読んで楽しめます。これ読んだ人と話したい。論破じゃなく、対話したいです。

公認なんていらない ものまねB面史(森野広明さん)もすっごく面白かった。

ご本人登場に驚く、歌手の真似をしているモノマネ芸人(いらすとや)

論破話で長くなりましたが、この記事も最高だったので紹介させてください。

ものまね大好きという編集者、森野さんが日本のものまねについて解説している記事。
声出して笑いました。めちゃくちゃ面白かった。
私はアラフォーなので、ものまね四天王どストライク世代です。あの頃、本当に日本中がものまね好きだった。「昭和のM-1グランプリ」、まさにそう!!
私は本家五木ひろしさんの歌より、コロッケさんと清水アキラさんの「ものまね五木ひろし」の歌のほうが絶対多く聴いている。清水アキラさんが淡谷のり子さんに褒められた時は、私も泣いた。あの私の涙なんだったんだろう。
あの時代の熱さがビンビンに伝わってくる、熱量のある記事。

チョコプラ長田さんの和泉元彌さんものまねが正式”非”公認であるのも初めて知りました。その理由がまたいいですね。
アイデンティティ田島さんが、公認は受けていないながらも「うっせえ、ぶっころすぞ」と言い続けているというところは、本当に声を出して笑ってしまった。

森野さんがおすすめのものまね芸人、ビューティこくぶさんの動画、さっそくYou Tubeでチェックしました。スピッツの草野マサムネさんのものまねって初めて見ました。うまい!!

森野さんは、新宿の「そっくり館キサラ」に行ったことはあるのでしょうか?
私はキサラに行くとめっちゃくちゃ感動しちゃうんだけど、森野さんはどうだろう。行ってたとしたら記事にしてほしいなあ、絶対に読みたい。

まとめ こんな面白い本が手に入るなんて嬉しい! 文学フリマまた行きたい

「SIDE-B」、他の記事も全部面白かったです。エンタメ好きには特におすすめ。
こんなに面白い本が読めるなんて文学フリマ行ってよかったです。お客さんでも何か特別な手続きとかいるのかなと思って行ったら、全然そんなことありませんでした。
他にもお目当ての短歌の本を買いました。あと、場内をぐるっと回ってジャケ買いした本もいくつかあるので、また機会があれば紹介したいと思います。

それではまた。双六問屋でした。

著:前田 隆弘
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