こんにちは。双六問屋です。見に来てくださりありがとうございます。
10月になりました。
毎年恒例、「ノーベル文学賞候補に村上春樹氏」のニュースが今年も報道されていますね。
「村上春樹、読んでみたいけどどれ読んでいいかわからないんだよなー」という方向けに、このブログを書いています。
皆さんは村上春樹氏の本は好きですか?私はとても好きです。これまで刊行されている書籍は、小説、エッセイ、ほぼ読んでいます。
好きな長編は「ねじまき鳥クロニクル」、「1Q84」、中編は「スプートニクの恋人」、エッセイは「朝日堂シリーズ」。
村上春樹氏ほど好き嫌いが分かれる作家も珍しいですが、それだけ読まれているということでしょう。
おそらく、世間一般の村上作品のイメージは
なんだかいけすかない青年が『やれやれ』と言いながら、パスタを茹でたり、女性とベッドに入ったりしつつ、なんともふわっとした禅問答のような会話をしていく
という感じでしょうか。
だいたい、合ってます。
合ってるんですが、他にも色々魅力があるんです。
2023年2月 追記 村上春樹、6年ぶりの新作長編発売が決定!!
2023年4月13日(木)、村上春樹さんの6年ぶりの新作が発売されることが発表されました!!
嬉しい!!!今回は1200枚の書き下ろしで、1冊に収まる模様?
タイトルもやっと発表されました。
村上春樹の新作を世界一早く、そして原語で読める幸せ。嬉しすぎる。
追記はここまでです。では、短編の話に戻ります。
村上春樹作品を読んでみたい人にすすめる究極の短編「木野」
村上作品を読みたいけど、どれから試していいかわからない方
昔、村上作品を読んだけど挫折した方
村上作品の面白さなんてちっともわからない、という方
短編小説はどうでしょう?
村上作品は長編小説が話題になりがちですが、短編にも面白いものがたくさんあります。
私のおすすめは「木野」です。
「木野」は、2014年に出版された短編集「女のいない男たち」に収録されています。
この本には6編の短編小説が収録されています。
全ての小説に共通するテーマは
いろんな事情で女性に去られてしまった男たち、あるいは去られようとしている男たち
です。(村上氏のまえがきより。)
ちなみに、その中の1編「ドライブ・マイ・カー」は西島秀俊さん主演で映画化されています。ちょうど今公開されている映画館もあるようです。
私は、小説 「ドライブ・マイ・カー」 は、あまり楽しめませんでした。
ただ、「木野」はものすごく面白い。村上作品の短編部門では、私はぶっちぎり1位で好きです。
「木野」のあらすじ、衝撃的だった言葉
主人公は、木野、39歳男性、営業マン。平和な日々を送っていた。ある日、突然妻から裏切られてしまう。妻との別れを決意し、会社も辞め、昔の経験を活かして小さなバーを開店する。名前は「木野」。
最初はお客さんゼロだったが徐々に馴染みの客も増え、猫も居つくようになる。多くを望まない木野にとっては十分な日々。
穏やかだった日常が、気が付かないうちに、少しずつ少しずつ、後戻りができない所までずれていき・・・
というのが、あらすじです。
少しずつズレていく渦中で、ある男から木野に対して衝撃的な言葉が伝えられます。
「木野さんは自分から進んで間違ったことができるような人ではありません。それはよくわかっています。しかし正しからざることをしないでいるだけでは足りないことも、この世界にはあるのです。そういう空白を抜け道に利用するものもいます。」
私はこの言葉を読んだ時、衝撃的すぎて忘れないようスケジュール帳にメモしました。
皆さんに実際読んでほしいのでネタバレは避けます。
日常生活でも起きうる場面です。
自分は悪くない。まあ、声をあげて拒否をすることでもないだろう。
それは、間違いではありませんよね。なんなら大人の対応に見えます。
ただ、それって正しいことなんでしょうか?
悪くないこと、と、正しいこと、って同じですか?そもそも正しいってなんでしょうか。
どの場面でも声をあげる必要はない。
ただ、人生ではたまに「自分の意思表示をする」ことが、絶対に必要な場面があります。
それを拒否し続けた時、人はどうなってしまうと思いますか。
これを読んでから、私は自分の意思表示をできるだけするようになりました。
「いやだ」「やめて」「それはおかしい」「傷ついた」「悲しい」「嬉しい」
抜け道に利用されないように。
2022年3月 追記 祝!!映画「ドライブ・マイ・カー」アカデミー賞国際長編映画賞!!
2022年3月28日、映画「ドライブ・マイ・カー」がアカデミー賞国際長編映画賞を受賞しました。
この賞は2009年「おくりびと」以来の快挙です。
私も鑑賞しましたが、オープニングから短編「シェエラザード」の一節が語られていますね。
Amazonプライム・ビデオなら、家にいながら映画「ドライブ・マイ・カー」がレンタルできます。
一度借りれば、30日以内ならいつでも視聴スタート可能、一度視聴を開始すると48時間で自動的に視聴期間が切れるので延滞の心配もありません。
この機会に一度ぜひ利用してみてはいかがでしょうか?
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映画の重要なシーンで「木野」を思い起こさせるセリフがありました。
映画「ドライブ・マイ・カー」は、「シェエラザード」と「木野」の要素を取り入れていると濱口監督のインタビューで読んでいたので、「ここか」と感じました。
映画もよかったのですが「正しく傷つくこと」については、小説「木野」も読んでほしい。
文字でじっくり自分と向き合いながらだと、もっと自由に、もっと深く伝わってくる気が私はします。
映画は映画で良いですけどね!最初の2時間は長く感じるけど、その後は急に面白くなりました。
映画が好きだった人も、そうじゃない人も短編「木野」が本当に面白いから多くの人に読んでほしいと思います。
村上作品のここが好き
私にとっての村上作品は
めちゃくちゃ面白いおとぎ話
です。
村上作品でよく描かれるエピソードとして、
・ある日突然、避けられない奇妙な事件に巻き込まれる。
・今までと同じように見えるが、住んでいる世界が昨日とは全く違うものになっている
・突然、人が消えてしまう
・現実か夢かわからない体験をする
などがあると思います。
はっきり言って、
わけわからん世界、です。わけわからないんだけど、出てくる世界が今まで考えたこともない世界。その世界がめちゃくちゃ面白いんです。この面白さが大好きです。
非現実の世界と、現実世界が絡み合う。その世界にぐっと連れ出されて抜けられなくなる。そして、「真実を言い当てている」会話が出てくる。
わけわからない世界の描写が圧倒的にリアルなんですよね。
現実世界に潜り込んだおとぎ話だなと思います。
結末については、私はわからない物はわからないままでいい派なので「面白いなー!!」といつも感じています。
ただ、はっきりクリアに解決したい人は、もやっとしちゃって楽しくないかもしれません。その気持ちもわかります。
深読みとか、謎解きしようとするといくらでもできちゃうので、その楽しみ方をしている方もいますね。それも楽しい。
その他オススメ作品
私の一押しは「木野」ですが、同じ本に収録されている「シェエラザード」も面白いです。
途中で「もうやめて!!」ってドキドキして苦しくなりましたが。ただ性描写がはげしいので苦手な方もいるかも。
あと「TVピープル」に収録されている「眠り」も面白くて、怖くて好きです。「ねむり」というタイトルで絵本化されたらしいけどあの結末のまま絵本になったの?子どもたちびびらない?
他にも面白い村上作品はたくさんあります。
村上作品を原語の日本語で読めることは、私にとっての「小確幸」(村上エッセイに出てくる「小さいけれど確かな幸せ」を表す単語)です。
皆さんのおすすめ村上作品はなんですか? ぜひコメントで教えてください。
もし、この記事が誰かの読書体験のきっかけになれたらとても嬉しいです。読んだらぜひ感想をコメントで教えてください。
それではまた。双六問屋でした。
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2023年4月13日(木)、村上春樹さんの6年ぶりの新作が発売されることが発表されました!!村上春樹の新作を世界一早く、そして原語で読める幸せ。
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