永寿総合病院看護部が書いたコロナの本のブックレビュー | 双六日録

【ブックレビュー】永寿総合病院看護部が書いた 新型コロナウイルス感染症アウトブレイクの記録 医療従事者である前に人間だ。だからこそ私は感謝する。

ブックレビュー 永寿総合病院 ブックレビュー
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まずお礼を。
この本を書いてくださった永寿総合病院のスタッフの皆さん、どうもありがとうございます。

爆笑問題、太田光さんがおすすめしていたので、この本を手にとった。
今、この時代に読めてよかった。

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どんな本?

新型コロナウイルス感染症、最終的に感染者200名以上、43名の方が亡くなるという院内大クラスターが起きた東京都台東区にある永寿総合病院。
「あの時何が起こったか、そしてその後院内はどう動いていったのか」を、漫画を交えつつ(イラストや図解も多数だがほとんどは文章)全ての人々にわかりやすく書いているドキュメンタリーだ。

最初はコロナと気が付かずどんどん患者さんや医療スタッフに感染が広がっていく様子。
クラスター発生後、業者の立ち入りがストップし、リネンのクリーニングや警備、送迎バスの運転に至るまで医療従事者が行う姿。
慣れない防護服を着る際、こみ上げてくる思いに涙を流すスタッフ。
人員配置に頭を悩ませつつ、どうやったらスムーズにみんなが動けるのか知恵を絞る看護科長。
そして、看護の仕事に加え、差別やマスコミ対応でメンタルが追い詰められていく医療従事者たち。

あの時に起きたことが記録されている。

私の感想

新型コロナウイルス感染症。
40年生きてきて初めて、「これ絶対歴史の教科書に載るんだろうな」と思うことをリアルタイムで経験した。
大きな災害や経済恐慌も経験してきたが、こんなに世界中で、そして全ての人に関係する災厄はなかったと思う。
生まれて初めて、「家に閉じこもっている事が正義」の世の中になった。
そして、初めて「今、病気になっても入院できない」という恐怖を知った。

医療従事者の方たちは、みんな「人の命を救いたい」と思ってその職を目指したのだろう。
それなのに、コロナ禍では救えるはずだった命が目の前で消えていってしまう。虚無感を誰よりも味わっているのは、一線で活躍してくださっている医療従事者の方たちだと思う。

この本では「もっとできる事があったはず」という思いを吐露しながら、でもその時に行った精一杯の事と、失敗を、惜しげもなく全て書いてくれている。

通常の医療を行いつつ、コロナの感染を防ぐためにどんどんと新しいルールが増えていく。それなのにお昼ごはんの時でさえおしゃべりもできない。仕事は忙しいのにお給料は減っていく。そんな状況がスタッフたちのメンタルを追い詰め、そしてどう向き合っていったか、この本はそのことまで正直に書いている。綺麗事だけではなくて、スタッフが嫌だと感じたことを書いているのがとてもいい。

この本の帯には「体験したからこそ伝えられることがあります」と書いてある。
永寿総合病院のスタッフは、自分たちが味わった悲しみを他の医療従事者たちには味わってほしくなかったのだろう。

「医療従事者」も当たり前だけど人間で、怒りも悲しみも虚しさもめちゃくちゃあるのに、それでも諦めずに頑張ってくれてるって伝わってくるからこそ、私はめちゃくちゃ感謝したいと思う。

新型感染症と戦っていった記録としても素晴らしい本だが、司令塔がどれだけ大切か、忙しい時こそメンタルケアのためにスタッフに声がけすること、などはどの職種においても参考になる。

疲弊していくスタッフが励まされた、「頑張れ永寿総合病院」の横断幕や、血液内科の患者さんの話は読んでいて目頭が熱くなった。

看護スタッフのメンタルケアについての章で、

このような異常事態の中で「誰かが自分たちのために何かをしてくれている」と気づいた時、私達は素直に嬉しいと感じることができました。

とある。それは患者さんが、医療従事者に感じていることだと思いますよきっと。いつもありがとうございます。

最後に

この本の出版にあたり、クラスター発生後初めて永寿総合病院にテレビカメラが入った。
その時の映像がYou Tubeにアップされている。インタビューに答えるのは、高野ひろみさん、武田聡子さん、松尾晴美さん。この本を書いた永寿総合病院の看護師の方たち。ぜひこちらも見てほしい。
退職したスタッフの人数に驚いたけれど、でも誰も責められないと私は思う。

この本を読んだ後だと、特に胸にぐっとくるものがある。

私は、自分ができる精一杯の感染症対策をやっていく。
きっとそれが、自分と、誰かの命を救うことだと思うから。

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